イラスト・動画編集の料金の決め方

料金を決めるとき、多くの方がまず「相場」を調べます。けれど検索して出てくる金額は、経験年数も作業範囲もばらばらな事例の寄せ集めで、そのまま当てはめても納得できる金額にはなりません。ここでは、自分の作業から金額を組み立てる考え方を紹介します。

相場を調べる前に、自分の時間を測る

最初にやることは、1件の制作にどれだけ時間がかかっているかを記録することです。 イラスト1枚に何時間かかったか。動画1本のカット編集に何時間かかったか。 2〜3件ぶん記録すれば、だいたいの平均が見えてきます。

次に、自分が納得できる1時間あたりの金額を決めます。 アルバイトの時給を思い浮かべる方が多いのですが、それでは足りません。 個人の仕事には、有給休暇も交通費も社会保険の会社負担もないためです。 機材やソフトの費用も、この中から出ています。

作業時間 × 1時間あたりの金額が、料金の土台になります。 ここで出た金額が相場より高いと感じたら、その差は「自分がまだ時間をかけすぎている」のか 「相場が安すぎる」のか、どちらかです。前者なら経験で縮まりますが、後者に合わせる必要はありません。

見落としやすい時間を足す

制作そのもの以外にも、時間はかかっています。 打ち合わせのやり取り、資料を読む時間、修正の対応、納品の準備。 これらを数えずに料金を決めると、実際の時給は想定の半分以下になることがあります。

特に修正は読みにくい部分です。だからこそ修正回数を 先に決めておくことが、料金を守ることにつながります。

使われ方によって金額を変える

同じ作品でも、使われ方によって価値は変わります。 SNSのアイコンとして個人が使う場合と、企業が広告に使う場合とでは、 その作品が生む価値がまったく違うためです。

実務では、基本料金に加えて商用利用を オプションとして設定する形がよく使われます。 権利そのものを渡す買い切り契約なら、 さらに上乗せするのが一般的です。

大切なのは、基準を自分の中で決めておくことです。 「収益が発生する用途は商用とする」のように言葉にしておけば、 案件ごとに悩む時間がなくなります。

料金表として見せる

金額が決まったら、料金表にしておきます。 聞かれるたびに答えるより、先に見てもらったほうがお互いに楽です。 条件が合わない相談が減るという効果もあります。

料金表に書いておくとよいのは、価格のほかに修正回数納期納品形式商用利用の可否の4つです。 ここが書かれていないと、結局やり取りが発生します。

料金表メーカーでは、プラン別の料金表を作って SNS投稿用の画像や、依頼ページに貼れるHTMLとして書き出せます。

値上げをどう考えるか

経験を積むと、同じ時間でより良いものが作れるようになります。 このとき時間あたりの金額を変えないままだと、上達するほど収入が減っていくことになります。

値上げのきっかけとして分かりやすいのは、依頼が途切れなくなったときです。 断らざるを得ない状態が続いているなら、価格が需要に対して低いというサインと考えられます。

既存の依頼者には、次の依頼のタイミングで新しい料金を伝えるのが一般的です。 料金表を更新した日付を書いておくと、いつからの価格かが伝わりやすくなります。

おわりに

料金に唯一の正解はありません。ただ、「なぜこの金額なのか」を自分の言葉で説明できる状態にしておくと、値引きを求められたときにも落ち着いて対応できます。その根拠になるのが、自分の作業時間の記録です。

この記事に出てきた用語

この記事は一般的な考え方を説明したものです。税務や契約の判断は状況によって異なるため、 個別の取り扱いについては税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。