「もう少し安くなりませんか」と言われたときの考え方
提示した金額に対して「予算の都合で、もう少し安くなりませんか」と返ってくる。断ると仕事を失いそうで、受けると次も同じ金額になりそうで、どちらも選びにくい場面です。ここでは、判断の材料になる考え方と、実際の伝え方をまとめました。
まず「なぜ下げてほしいのか」を聞く
値下げの相談には、いくつか違う背景があります。 本当に予算の上限が決まっている場合、相場を知らずに高く感じている場合、 そして単に交渉の余地を探っている場合です。
背景が違えば、こちらの返し方も変わります。 予算が決まっているなら作業範囲を調整できますし、 相場を知らないだけなら内訳を説明すれば納得してもらえることがあります。
聞き方は「ご予算はおいくらくらいをお考えでしょうか」で十分です。 金額を先に言ってもらえれば、その範囲でできることを組み立てられます。 逆にこちらから「いくらまで下げましょうか」と切り出すと、際限がなくなります。
金額を下げずに調整する
値下げの相談を受けたとき、真っ先に検討したいのは 金額ではなく作業範囲を減らす方法です。 同じ内容で安くすると、時間あたりの報酬が下がるだけですが、 範囲を減らせば時間も減るため、割に合う状態を保てます。
たとえばイラストなら、全身をバストアップにする、背景を簡素にする、 修正回数を2回から1回にする。動画編集なら、テロップを全字幕から要点のみにする、 サムネイルを別料金にする。
伝え方の例です。
「ご予算に合わせるとしますと、背景を単色にする形であれば〇円で承れます。
背景込みですと当初の金額になりますが、いかがでしょうか」
この形なら、値下げを断っているわけではなく、選択肢を出していることになります。 相手も判断しやすく、こちらも納得できる金額を保てます。 提示した内容は見積書メーカーで書面にしておくと、 後から「安いほうの条件だったはず」という食い違いを防げます。
受けてもよい場合
値下げを一律に断る必要はありません。次のような場合は、受ける判断もあります。
ひとつは、実績として公開できる案件のとき。 ポートフォリオに載せられる作品は、次の依頼につながります。 ただしこの場合は「公開の許可」を条件にしてください。 公開できないなら、値下げの理由がなくなります。
もうひとつは、継続の見込みがあるとき。 「今回は予算が厳しいが、次からは通常料金で」という話であれば、 最初の1回を投資と考える余地があります。 ただし口約束は残りません。次回の条件をメッセージなどに残しておきましょう。
断るときの伝え方
断ること自体は失礼ではありません。 価格には作業時間という根拠があり、それを説明できれば十分です。
伝え方の例です。
「恐れ入りますが、この内容ですと〇円が下限となります。
ご予算に合う形をご提案できればと思いますので、
優先したい部分を教えていただけますでしょうか」
断ったあとに代案を添えると、関係を保ったまま話を終えられます。 代案が出せない場合も、「今回はお力になれず申し訳ありません」で構いません。 無理に受けて納期に遅れるほうが、相手にとっても損失です。
そもそも交渉されにくくする
値下げの相談が頻繁に来る場合、料金の見せ方に原因があることがあります。 金額だけが書かれていて、何が含まれるのかが分からないと、 相手は「高いか安いか」でしか判断できません。
料金表に作業範囲・修正回数・納期・納品形式を書いておくと、 金額の根拠が伝わり、交渉になりにくくなります。 料金表メーカーではプランごとにこれらを記載できます。
また、価格帯の違うプランを複数用意しておくと、 「安くしてほしい」ではなく「下のプランでお願いします」という相談に変わります。 断る場面そのものが減るという効果があります。
おわりに
値下げに応じるかどうかに正解はありません。ただ、その金額で引き受けたときに自分が納得できるかを基準にすると、判断がぶれにくくなります。納得できない金額で受けた仕事は、途中で気持ちが続かなくなりがちです。
この記事に出てきた用語
この記事は一般的な考え方を説明したものです。取引の条件や法律の適用は 状況によって異なるため、判断が必要な場面では公的な相談窓口や、 税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。