はじめて企業から依頼を受けたときに確認すること

個人からの依頼に慣れていても、企業からの依頼は勝手が違います。支払いのタイミング、必要な書類、決裁の仕組み。知らずに進めると「入金が2か月先だった」ということが起こります。最初に確認しておきたいことを、つまずきやすい順に並べました。

① 支払いのサイクルを最初に聞く

企業案件でいちばん多い誤算が、入金までの時間です。 多くの会社は「月末締め・翌月末払い」で経理処理をしています。 つまり、月末を1日過ぎて請求書を出すと、入金が1か月まるごと後ろにずれます。

確認したいのは締め日支払日の2つです。 「請求書の締め日と、お支払いのタイミングを教えていただけますか」と 最初のやり取りで聞いておけば、納品の時期も逆算できます。

生活費に直結する部分なので、遠慮する必要はありません。 経理のある会社なら、担当者はすぐ答えられる質問です。

② 誰が決裁するのかを把握する

やり取りしている担当者に、金額を決める権限があるとは限りません。 「社内で確認します」と言われたまま数日空くのは、決裁を通しているためです。

この仕組みを知っていれば、見積書を早めに出す意味が分かります。 担当者は見積書がないと社内の手続きを始められないことが多く、 口頭の金額だけでは話が前に進みません。

見積書メーカーで体裁の整った見積書を出しておくと、 担当者がそのまま社内に回せます。結果として、こちらの待ち時間も短くなります。

③ 発注書をもらえるか確認する

企業案件では、正式な依頼として発注書が 発行されることがあります。これがあると、条件の記録が確実に残ります。

発注書が出ない会社もあります。その場合は、 メールで「下記の内容で承ります」と条件を書いて送り、返信をもらっておきましょう。 書面でなくても、合意の記録があるかどうかで後の安心感が変わります。

受け取った発注書は、自分が出した見積書と条件が一致しているか確認します。 金額、作業範囲、納期、修正回数。 違いを見つけたら、着手前に確認するほうが手戻りが少なくて済みます。

④ 源泉徴収されるかを確認する

企業が個人にイラスト制作費などを支払う場合、 源泉徴収として あらかじめ所得税が差し引かれることがあります。

これを知らないと、請求した金額より少ない入金を見て 「支払いが足りない」と勘違いしてしまいます。 差し引かれた分は確定申告で精算されるので、なくなるわけではありません。

請求書に源泉徴収額と差引後の金額を書いておくと、 経理担当者にも親切で、入金額の行き違いも防げます。 請求書メーカーには源泉徴収の項目があります。

⑤ 権利の扱いを書面にする

企業案件では、成果物の使われ方が広がりやすくなります。 SNSでの告知だけのつもりが、広告やグッズにも使われる、ということが起こり得ます。

確認しておきたいのは、商用利用の範囲、 著作権を譲渡するのかどうか、そして実績として公開できるかです。 最後の項目は見落とされがちですが、公開できないと次の営業に使えません。

発表前の案件ではNDA(秘密保持契約)を 結ぶこともあります。この場合、いつから公開してよいかを確認しておきましょう。

⑥ 請求書の送り方を聞く

請求書の宛名、送付先のメールアドレス、押印の要否、 PDFでよいか郵送が必要か。会社によって運用が違います。

特に宛名は、部署名や担当者名まで指定されることがあります。 「請求書の宛名と送付先を教えてください」と聞いておけば、出し直しを避けられます。

インボイス登録をしている場合は、登録番号の記載を求められることもあります。 していない場合は、その旨を伝えれば問題ありません。

おわりに

ここまで6つ挙げましたが、最初の取引で全部を完璧にする必要はありません。とくに重要なのは①の支払いサイクルと④の源泉徴収です。この2つを知らないと、お金の見通しが立たなくなります。

この記事に出てきた用語

この記事は一般的な考え方を説明したものです。取引の条件や法律の適用は 状況によって異なるため、判断が必要な場面では公的な相談窓口や、 税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。