はじめて制作の依頼を受けたときの進め方

DMで「イラストをお願いしたいのですが」と連絡が来た。うれしい反面、何から返せばいいのか分からない。そんなときのために、最初の返信から入金までの流れを、実際にやり取りする順番に沿ってまとめました。すべてを完璧にやる必要はありません。抜けると後で困りやすいところだけ押さえておけば十分です。

① 引き受ける前に聞いておくこと

金額を答える前に、条件を確認します。ここを飛ばして「1万円くらいです」と即答すると、 あとから作業が膨らんだときに言い出しにくくなります。

最低限そろえたいのは次の4つです。何を作るのか(全身かバストアップか、動画なら尺はどのくらいか)、 いつまでに必要かどこで使うのか(SNSのアイコンだけか、グッズにするのか)、 誰が使うのか(個人か、企業か)。

特に3つ目と4つ目は料金に直結します。同じイラストでも、個人がアイコンに使う場合と、 企業が広告に使う場合では、作品の価値がまったく違うためです。 詳しくは商用利用をご覧ください。

② 見積書を出す

条件がそろったら、金額を書面で伝えます。口頭やDMだけで進めると、 「その金額は税込だと思っていた」「修正は無制限だと思っていた」という食い違いが起きがちです。

見積書には、品目ごとの金額に加えて修正回数納期を書いておきます。 備考欄に「修正は2回まで、それ以降は1回あたり〇円」と書いておくだけで、 後から相談するときの根拠になります。

見積書メーカーを使えば、品目を入力するだけで合計まで計算され、 そのまま印刷やPDF保存ができます。相手が企業の場合、見積書がないと社内の承認が下りないこともあります。

③ 着手金を受け取るか決める

初めて取引する相手や、制作に数週間かかる案件では、 先に報酬の一部を受け取る方法があります。前払い・着手金です。

「着手金として半額、納品時に残額」という形がよく使われます。 言い出しにくければ、料金表に「着手金をいただいてから制作を開始します」と最初から書いておく方法もあります。 そうすれば、案件ごとに切り出す必要がなくなります。

④ 制作中の進め方

イラストなら、ラフの段階で一度確認をもらうのが一般的です。 彩色まで進んでから構図を変えることになると、多くの作業をやり直すことになるためです。 工程の呼び方はラフ・下描き・線画・彩色にまとめています。

確認をお願いするときは、「〇日までにご確認いただけますと、納期に間に合います」のように、 いつまでに返事がほしいかを添えると、待ち時間が読みやすくなります。

⑤ 納品したら、検収を待つ

納品しても、すぐに支払いが始まるとは限りません。 依頼者が内容を確認する検収という手続きがあり、 これが終わってから請求に進む取引もあります。

「確認します」と言われたまま連絡が来ないときは、この段階であることが多いものです。 納品時に「〇日以内にご確認のご連絡をお願いします」と伝えておくと、いつまで待てばよいかが分かります。

⑥ 請求書を送る

検収が終わったら請求書を送ります。ここで大切なのが振込先の書き間違いをしないことと、 相手の締め日を知っておくことです。

多くの会社は「月末締め・翌月末払い」で処理しています。 月末を1日過ぎて請求書を出すと、入金が1か月まるごと遅れることがあります。 納品が月末に近いときは、締め日を先に確認しておくと安心です。

請求書メーカーでは、見積書の内容をそのまま引き継げます。 相手が企業の場合、報酬から源泉徴収されて、 請求額より少ない金額が振り込まれることがあります。驚かないよう、仕組みだけ知っておいてください。

⑦ 記録を残しておく

発行した見積書と請求書は、あとで見返せるように保存しておきます。 1年間の収入をまとめる確定申告のときに、そのまま記録として使えます。

各ツールには「書き出し」があり、内容をJSONファイルとして保存できます。 案件ごとにファイルを残しておけば、翌年に似た依頼が来たときの見積の参考にもなります。

おわりに

ここまで読むと手順が多く感じるかもしれませんが、実際に必要なのは「条件を聞く」「見積書を出す」「請求書を送る」の3つだけです。残りは、慣れてきたら少しずつ取り入れれば十分です。

この記事に出てきた用語

この記事は一般的な考え方を説明したものです。税務や契約の判断は状況によって異なるため、 個別の取り扱いについては税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。